SARSコロナウイルスの感染力の猛威

SARSは2002年~翌年の2003年にかけ、中国で端を発した呼吸器疾患を伴う深刻な感染症である。
現在でも確固たる治療法は確立されておらず、感染力が非常に強い為、最も警戒すべき感染症の一つである。

この病気の厄介なところは、感染者の咳やくしゃみなど、飛沫感染するという点である。
初期症状は風邪とよく似ており、本人やまわりもさほど気にしない事がほとんどだ。
いわゆる「空気感染」が感染拡大の最大の特徴であり、パンデミックとなりやすい。

SARSは呼吸器系疾患が主な症状となる為、「呼吸器症候群」という名前がつけられている。

●感染初期
SARSコロナウイルスは感染後、平均5日ほどの潜伏期間を経た後、発症する。
潜伏期間には個人差があり、早ければ2日、遅い人では10日ほどかかる場合もある。
初期症状はインフルエンザと非常によく似ており、発熱・悪寒・筋肉痛を伴う症状が現れる。
そして、その症状は次第に軽くなる事が多い為、ここまでは完全に風邪かインフルエンザと思い込んでしまう事が多くなる。

ところが、しばらくすると再び発熱を起こし、やがて呼吸器困難の症状が現れる。
大半の人は、このあたりから病院で受診するケースが多くなるが、この頃には学校や会社、通勤・通学電車などで不特定多数の人と接触しており、ウイルスを巻き散らかしてしまっているケースがほとんどだ。
これがSARSが恐れられている最大の要因で、重症化すると死に至るケースも少なくない。
致死率は10%程度とエボラ出血熱などに比べれば低いが、感染力の強さなどから、エボラ出血熱より恐ろしい感染症として警戒が強められているところだ。

●治療
SARSは残念ながら、現在の医療では確実な治療法が確立されていない。
初期段階では検査と治療を兼ねて抗生物質が投与されるが、有効な治療法には至っていないのが現状だ。
SARSは呼吸器疾患を伴う事から、酸素吸入も一般的に行われるが、いずれも一時凌ぎにすぎない応急処置的なものとなっている。

●今後の課題
SARSは感染力が協力な上、治療法が確立されていない点や、致死率も10%と決して低くない点が大きな課題だ。
特に、感染拡大の予防・有効な治療法の確率が急務となっている。
SARSの治療に関しては、世界中で研究が盛んに行われており、バイオベンチャーなどへの助成金制度改革など、早急な対応が迫られているのではないだろうか。